d.睡眠(連続覚醒時間の上限を設け、仮眠の目安をもつ)
人の体調は24時間のリズムをもっており、これを変更することは不可能である。夜間に8時間睡眠をとることが最も効率的である。反対に勤務時間がそれに沿わない場合には疲労を増す。船内労働はこれらの点で不利な状況にある。これを軽減するには、完全な夜勤を長く続けるのを避け、連続した場合にはこのリズムに補正できる休息を挟むことである。そして夜勤状態でも深夜に仮眠時間帯を設けることである。仮眠を含めて8時間以上の睡眠可能な休息時間を与え、そのうち1回は連続6時間の睡眠を可能にすることである。
e.区切り(作業計画が明確で息が抜ける時間帯を設ける)
船内作業の区切りの悪さは先に述べたとおりである。区切りなく注意力を長く持続することは不可能である。また、区切りがはっきりしないと休息する気になれないし、休息したとしても効果が薄い。疲労を回復し十分な注意力を維持するには、仕事の区切りを明確にする必要がある。それには全体指揮者が各作業配置での就労時間と密度を把握するとともに、各配置のリーダーは各自の作業や疲労をみて、前広に作業計画を描いて、できるだけ早めに仕事を切り上げ、そして次の作業予定を明らかにするとよい。
f.交代(単調、過負荷作業を長時間続けない)
狭水道通航や荷役作業、あるいは漁るうで勤務が長時間にわたったとしても作業を中断することが無理な場合が多い。そのときは、上手に交代することによって休息を確保する必要がある。しかし、船長や漁るう長などの管理者は、運航や操業の全体に関心が強いだけに乗組員に無理を強いることが起こりかねない。
これを防ぐには、勤務時間の記録を取り、・客観的評価を行うことが望ましい。
配置、職務、年齢等に分けて勤務状況を分析して、偏りや個人差による負荷程度を考慮して、交代者と時間を告げることが望ましい。ただし乗組員がその基準や方法をよく理解しないと人間関係に影響する可能性がある。
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